肉や野菜を買いこんだA組は、各々部屋の整理の手を止めて1階の食堂に集まっていた。肉の焼ける匂いが充満し取り合うように減っていき、野菜も食えよーと林間合宿の時のような和気あいあいとした夕食が賑わっていた。
「んんー! ちゃんキター!!」
カチャンと箸を置き、口に肉を詰めた葉隠がケータイ片手に駆け出ていくと他の女子も男子たちも続いた。
「飯田」
「うん?」
混雑する玄関で靴を履く飯田が轟に呼び止められる。
皆が駆け出ていった後で、緑谷も二人に気付き足を止めた。
「おまえには先に言っとく」
「何をだ?」
「の右手のことだ。あんまあいつを責めんなよ」
右手と聞いて飯田は神妙な顔つきを見せる。
轟は先日病院で見たのケガの具合と個性の消失について話した。
飯田にとってはいきなり知るより一拍あった方がいいと思ったから。
正門前でジョーと別れ学校に戻ってきたは皆と一緒に寮へ入り、食え食えと皿に肉を乗せられ静かに皆の中に混ざっていた。
「くん」
に影を下ろし、傍で飯田がメガネの奥でグッと堪えるような目で見つめ下ろす。
の皿に添えられているのは箸で、飯田がフォークを差し出すとはそれを左手で受け取った。
「右腕……見せてくれないか」
「見て気分良いものじゃないぞ」
そうは言っても飯田の目は引かない。
は飯田があの場にいたことは覚えているが、別の衝撃の方が強くあの時飯田がどんな状態だったか、心境だったかまでは知らない。委員長としてクラスを率先して導こうとする飯田のこと、目の前であんな血生臭い光景を見せられては気にするなと言う方が無理かとは思った。相澤も詫びろと言っていたし。
は長袖をまくり上げ右腕を飯田に差し出した。肘と手首のちょうど中間でまだ真新しく皮膚が盛り上がる接合した跡が腕を周回し残っている。周囲の皆と共にそれを見下ろす飯田は瞬間、その腕から大量に流れ続けたおびただしい鮮血の感触と匂いを思い出した。痛みと熱に侵されもがき苦しむのことも。
飯田はそっとその腕に触れ、皮膚を滑り指先を握った。
まるで反応を返さない右手。轟に聞かされた信じたくない話が現実となった。
「本当に、動かないのか……」
「え……!?」
動かないと聞いて切島や瀬呂も立ち上がり集まってくる。
多くの生徒はただがケガを負ったとしか聞いていなかったが、あの時補習組の数人は腕を切断したを見ていた。しかし飯田はその比ではない。目の前で一部始終を見ていた。しかも麻痺……兄と同じ。痛みが無いわけがない。
「気にすんな、こんな傷いくらもある。問題ない」
轟といい飯田といい。そうは何事もなく腕を引き袖を下ろした。
しかし飯田はぐと歯を噛み締めた。
「問題がないわけないだろう!? 自分の体をなんだと思ってるんだ!!」
突然決壊した飯田の勢いに圧され傾くを隣で葉隠が支えた。
「ヒーローの資本は己の体だ! 自己犠牲を負うヒーローだろうとまずは自分が無事であることがヒーローの最低条件だ! 君はヒーローになるんだぞ!!」
「飯田くん、落ち着いて落ち着いて!」
「……っ」
飯田にはもうひとつ……脳にこびり付いて離れないものがあった。
黒炎の敵がに放った言葉……”人間兵器”。
久々の殺しは楽しかったか? この国の人間がどいつもこいつもバカに見えるんだろ、戻りたいと思ってるんじゃないか?
「僕はもう……あんな君を見たくはない、もう、あんな戦い方をしちゃいけない……! 君はヒーローになるんだ! ここで、皆と一緒に! 君の痛みは君だけのものじゃないんだ、僕は君のヒーローへの道を決して途絶えさせはしないからな!!」
シンと静まったフロアに飯田の苦痛がこだまする。
「ハイ」
見上げ零すの声に飯田は肩の息を落ちつけていく。
「久々に聞いたな、の”ハイ”」
プッと笑みを零した上鳴に同調して周囲からも笑いが零れてくる。
「当然皆も同じだ! 緑谷くん、君も!」
「ハイィ!」
「せっかくの共同生活、規則正しい毎日を送り丈夫な体を培おう! 健全な精神は健全な肉体に宿る、だ! 明日から毎朝6時にラジオ体操だ!」
「ええ!?」
また始まったよ! おまえのせーだからな!
焼き肉の匂いが充満するフロアに文句と笑い声が混じり響き合った。
「おまえって飯田に弱いよな」
動きのない右手でポリポリ耳をかくに向かいの轟が言う。
「ヒーローは皆苦手だよ」
左手のフォークでコンと肉を刺しは口に運んだ。
チン、と鳴り扉を開けるエレベーターに乗ろうとした耳郎は、乗っていた葉隠と顔を合わせた。と言っても姿の見えない葉隠はやはり一拍置いてしまう。
「耳郎ちゃん! 片づけ終わったのー?」
「もう少しかな。ちょっと疲れたから休憩。そっちは?」
「私はもうほぼ出来た! ちゃん戻ってるかなーと思って部屋行ってきたんだけどまだいなかったよ」
「、いないの?」
「うん、焼き肉の後、相澤先生に呼ばれて行っちゃったんだよ」
「そっか」
下へ向かうボタンを押していた耳郎だけど、それを聞いてエレベーターに乗るのをやめた。
「あのさ、聞いた? 合宿でウチらガスにやられてた時さ、が助けに来てくれたって」
「うん、尾白くんに聞いたよ。ぜんぜん覚えてないけど、私たち二人も抱えて合宿所まで運んでくれたんだってね、すごいよね」
「うん……そのお礼をさ、言おうと思ったんだけど、皆がいる中じゃなんか言い出しづらくて」
「あ、それで今行こうとしたの? じゃあ戻ってきたら一緒に行こうよ! 戻ったら教えてってメールしとこー」
ポケットからケータイを取り出し葉隠はエレベーターホール前にあるソファにドサッと腰を下ろした。スイスイと打ち込みそーしん! と高く腕を伸ばす葉隠の隣に耳郎も座る。
「の腕のことさ……、知ってた?」
「ううん、さっき知った」
「だよね……。動かないって、相当ショックだよね、大丈夫なのかな。あいつ、いつも平気そうな顔してるからいまいち分かんないんだ」
「耳郎ちゃん、気にしてるの?」
「するでしょ。だって手が動かなくなったんだよ? ウチらのことは助けてくれたのにさ、こっちはあいつが大変な時に何もしてあげらんなくて、友だち甲斐がないっていうかさ」
「うん」
「葉隠はと仲良いし、ウチよりのこと分かってるでしょ。ウチ、どう言ったらいいか分かんなくてさ、お礼も、手のことも」
「分からないよ、私も……」
ケータイを下げ、葉隠はポトリ落とすように呟く。
葉隠は表情が見えない。だからその声が葉隠の気分を悟る唯一の情報。
「仲良いって言っても私がずっとくっついてるだけで、ちゃんは自分のことも話してくれないし、いつも私がペラペラしゃべることに相槌打ってくれるくらいでさ」
「そう……。やっぱあいつって、ウチらとは、」
耳郎がそう言いかけると、葉隠が「それダメ!」と口を止めた。
「ちゃんがどうして雄英にいて、どうしてヒーローになろうとしてるのかはまだ分からないけど、でも今、私たちと一緒にいるんだから、私はそれでいいって思う。飯田くんが言ってたみたいに、私もちゃんがヒーローになろうとしてるのを止めさせたくないよ。だから私、絶対この先何があってもちゃんの仲間でいようって思ってるんだ」
「なんか、葉隠もだけど、飯田とか轟とか、知らない間に仲良くなってるよね、と。私まだあいつとどう話していいかちょっと分かんないんだ」
「私ね、最初の戦闘訓練でちゃんとペアになったでしょ」
「うん」
「あの時さ、ちゃんがオトリになって、その隙に私が核にタッチするって作戦立てたのね?」
「葉隠の個性なら普通はそうだよね」
「うん、でも、私が見えないのは敵もだけど、味方もでしょ? だから私、ちゃんのこと見ながら動いてた。けどね、ちゃんも、私のこと見てたの」
「見てた? どこにいるかわかったってことでしょ? あいつ空気通じて感じること出来るわけだから」
「そう、そういう個性。なんだけど……、すごく嬉しかったんだァ。私って見えないから、こうして話してても、この……声がするこの辺りを大体見て話してくれるでしょ? でさ、声の感じで私のテンションが分かって、しゃべってないと割とスルーだったりさ」
「スルー?」
「顔ってすごく大切なんだよ。目が合わないって、結構意思疎通出来ないもんなんだ。そこにいるって分かってても、見えないって、やっぱりいないのと同じくらい人って認識出来ないものなんだよ。だからうちのお母さんって私と話す時はいつも私の顔触りながらしゃべるんだ」
林間合宿での肝試しでペアになった時は、肝試しが苦手な耳郎に相反し葉隠はテンション高く楽しんでいた。葉隠はいつも明るい声の印象しかない。けどそれって、当たり前なんだと耳郎は思った。葉隠が口を閉じている時の気分は、見えないんだから。
「ちゃんとペアだった時、ちゃんの意識がずっと私に向いてるって感じがした。ちゃん、ずっと私が動きやすいように動いてくれてた。あんなの初めてだったよ。そもそもペア組むっていうのも初めてだったけど、私が合わせなきゃって思ってたのに、すごく自由に動けて、楽しくて、私が活きてる……って感じがした」
ペアってこういうものなんだって思った。仲間ってこういうことなんだ。
安心できて、力がより発揮できて、達成した時の喜びが倍増した。
「普段しゃべってる時もちゃんは私の話聞いてるだけだけど、黙っててもちゃんと聞いてくれてるんだ。で……私が、どう言ったらいいか分かんない時も、なんでだか分かってくれるの。不思議だよね。私中学の時、友だちにどう思ってるのか分かんないからちゃんと言ってよって言われたことあるんだけど、自分の気持ちって……そんなに簡単に、全部、言い表せられないよ。だからいつからか、明るくしてなきゃーってのが染みついた。でも、ちゃんは、何も言わなくても聞いててくれるんだァ。それって……私にはね、すごく、嬉しかったぁ……」
「葉隠……」
「えへへ、だからね、私ちゃんが大好きなんだぁ。もちろんみんなも大好きだよ、A組はみんな良い人ばっかり! けど、ちゃんは、特別好き! 大好き!」
一瞬、空中で生まれた雫はそれとは分からない間に拭い去られて消えていった。そうやってこの世になかったこととして過ぎていった。人から見えないというのは、楽しいことも苦しいことも悲しいことも分からない。光った涙が嬉しいからなのか悲しいからなのかも。見えていたって人のことなんてまだまだ分からないことだらけなのに、微妙な表情の移り変わりを見て取れない葉隠の苦労は、とても。
ちゃんが戻ってきたら一緒にいこーね。
そう言う葉隠に頷いていると、また後ろのエレベーターがチンと音を鳴らし麗日と八百万、芦戸がぞろぞろと降りて、そこにいた二人に「あ!」と笑顔を見せた。
「いーねここ! くつろぎスペース!」
「みんなでどーしたの?」
「あのさあのさ、部屋出来たら皆で部屋見せっこしよーよ! って話してたんだけど」
「あー! それいい!」
「ねー! でさ、男子の部屋も見に行っちゃおーよ!」
「いいね! いこういこう!」
「あれ、梅雨ちゃんは?」
ソファーに押し寄せる女子たちの中に蛙吹の姿だけがなかった。
「梅雨ちゃん、なんか元気なかったんだ」
「ええ、どうしたの? 気分悪いの!?」
「そうじゃないみたいだけど……」
「あとさんにもお声かけませんと」
「ちゃんは相澤先生に呼ばれたから今お出かけ中だよ」
「皆あとどのくらいで出来そ?」
「ウチはあと片づけるくらいでひとまずって感じ」
「私はデコるだけ〜」
「じゃあ30分後! またココ集合ってことで!」
わーっと盛り上がり、また女子たちは自分の部屋へ戻っていった。
そうして男子も巻き込み始まった部屋のお披露目会に夜更けの寮内は賑わった。
まだ戻ってこないと、くだらねぇ寝るとさっさと部屋に籠ってしまった爆豪と、気分が優れないという蛙吹以外の生徒たちは順に皆の部屋を回っていったが、単純な部屋のお披露目会だったはずがいつの間にか部屋王決定戦へ移り変わり、女子の部屋までも披露することとなり、やっぱりね! という様相から、なんだこれ! というアイテムまで、普段共に訓練に勤しむクラスメイトたちの日常がより垣間見れて、日に日に親睦を深めていくA組はこれからの共同生活に一層明るみを見せた。
「じゃあ投票形式な!」
「一人一票、自分に入れるのナシね!」
全員の部屋を見て回り、ついに部屋王を決しようとわいわい1階まで下りてくると、ちょうど玄関からガチャっと音がしてが姿を見せた。
「ちゃんやっと帰ってきたー! 長かったねぇ」
皆の合間から葉隠が飛びだしの元へ駆け寄るも、息を切らし汗だくのに足を止めた。
「先生に呼ばれてたんじゃなかったの……?」
「それはすぐ終わった」
「え、トレーニングしてたの……?」
「ここ半月くらいずっと寝てたからな」
「……へぇ」
「おまえら、全員揃って何してんの」
「……」
ぐいと汗を拭うが全員を見渡す。
お披露目会だ部屋王だと遊んでいる自分たちの肩身が妙に狭くなった気がした。
「」
気を取り直して部屋王決定投票だ! とリビングへ向かっていく皆の後ろで、エレベーター横の階段を上がっていくを轟が呼びとめた。
「寝れそうか?」
振り向き轟を見下ろすは小さく頷き返し、階段を上がっていった。
5階建ての寮は各階に4部屋ずつあるが女子は人数が少ない為ひとつの階に住まう生徒も少ない。2階の部屋に配置されたは自室に入ると段ボールの中から着替えを探し引っ張りだした。自前で家具を用意する者もいるが、机、ベッド、クローゼットは支給され必要な物を使用できの部屋にも揃っていた。
1階の共同スペースにある浴室でシャワーを済ませ再び自室に戻る頃には他の生徒たちも皆部屋に戻ったのかフロアの明かりは落ちていた。中庭から滲む僅かな外の明かりだけで微かに視界が保たれている寮内。たとえ真っ暗な中ででもまっすぐに歩けたのはもう過ぎた話。いつだったか、学校って日が暮れると不気味だよな、と言っていた上鳴の言葉が今さら少し分かった気がした。
寮での生活が始まり、初めての朝。
カーテンの隙間から光が差し込みだした早朝5時、目覚まし時計のけたたましい音を叩きとめた爆豪は起き上がり、洗面所で顔を洗い歯を磨くと寝間着から体操服へ着替え、まだ静かな寮内を1階へ下りていった。実家とは違う匂いのする広く大きな建物。真夏の盛りである今の時期、すでに太陽は眩しく大地を照らしている。玄関でスリッパから靴に履き替え外に出ると森林から流れてくる風に清らかさを感じた。
玄関を出てすぐの階段を降りようとしたところで爆豪は足を止めた。玄関前のアプローチの両脇に広がる芝生の、女子棟の側で静かに座っているがいた。まっすぐに伸びた背筋も小さく隆起する胸の呼吸も何も無理なく自然のまま、まるで傍にあるベンチや眼前に広がる森林のように当たり前にそこにあった。そんな静けさのまま瞼を開き爆豪に振り向いた。
「おはよう」
樹木に風が吹き木の葉が一枚ふと枝から離れたかのような声が密やかに爆豪に届く。返答を待つでもなくまた自然と正面を向いたの視界にも意識にももう爆豪はいないかのようだった。呑まれそうな空気感を舌打ちで振り払い、爆豪は数段の階段を降りるととは対極の男子棟前の芝生に腰を下ろし体を柔軟に解した。
ふああ、と大きな口を開けアクビを放つ顔を鏡に映す切島は眠気の抜けない顔をジャブジャブと流し、パンと叩いて引き締め部屋を出た。まだ誰も起きてきていない静かな1階リビングでコップ一杯の水を飲み、中庭から眩しい日差しを差し込ませる廊下を進み玄関へ向かうとチンとエレベーターが止まる音を聞いた。
「オッス轟、やっぱ早ェーな、ランニングか? 一緒にいこーぜ」
「ああ」
「さっき爆豪の部屋寄ったらもういなかったぜ、何時起きだよ。まァきのう一人でさっさと先に寝てたしな」
「俺も遅いくらいだ。少し寝過ごした」
「マジかー、じゃ明日は5時起きだな。寝過ごしたって、きのう寝付けなかったのか?なんかおまえそういうとこデリケートそう。枕変わると寝れんみたいな」
「そうでもねぇんだけどな……」
夜中まで騒いでいた昨夜は部屋の片づけに明け暮れたおかげで疲れ眠気も感じていたのに、いざ床に着くと暗い個室が妙に肌に合わず目を閉じても意識が落ちていかなかった。生まれた時から慣れ親しんだ家を出て、新しい家での共同生活。きっとふとんの中でなかなか寝付けなかった生徒は多くいただろう。
靴を履き腕や首の筋を伸ばしながら玄関を開ける切島に続く轟も玄関前でアキレス腱を伸ばしストレッチを始めると、ガァー! と聞き慣れた叫び声が響いてきた。
「あ、爆豪いた。あいつはどこにいてもすぐ分かんな」
静かな朝の空気を切り裂く声の方を見ると、少し離れた芝生の広場に爆豪とを見つけた。
「てめェチョロチョロすんじゃねェ!」
「だってそういうルール……」
「分かってるわクソボケ!」
「まだ寝てる子いるんだから、ちょっとウルサイ」
「知るか! もっかいだコラァ!!」
爆豪もも早朝からトレーニングを始めている姿は驚くことではないけど、二人が一緒にいる光景というのはまるで別の写真を切り合わせたような違和感に轟は感じた。一体どうしてこうなったのか。
「よーおはよー! 何してんの?」
「爆豪ゴッコ」
「オニゴッコだクソボケ!」
「執拗にねちっこくどこまでも相手を追いかける……」
「ハハッ、バクゴーゴッコだ!」
「死ねクソ髪ボケ!!」
俺もやる! とあっという間に二人の中に入っていった切島を轟も追いかけると、フンと爆豪が離れていった。
「おはよう」
爆豪を追いかけていった切島の後でが轟を見上げる。
「おはよう」
これまでオウム返しのようだったのそれが、今朝は山の向こうから昇り光を広げていく太陽がじわじわと大地を温めるような、きちんと一日の始まりを知らせるそれに聞こえた。