プシュ、とドアが閉まりバスがゆっくり動き出す。
それぞれにコスチュームを持ちバスに乗り込んだA組生徒達は気合いを込め、緊張や不安を落ち着け、いよいよ始まる試験に気持ちを高めた。あっという間だった夏休みを終え終始訓練に明け暮れた一同は、本来なら2年時に行われる課程を前倒しして今日、ヒーロー活動許可仮免許の取得に挑む。
「ちゃん、リンゴ食べよ、リンゴ」
葉隠の声に振り向く轟は斜め後ろのシートを覗き見た。
「朝ごはんもあまり食べてなかったじゃん、ちょっと食べといた方がいいよぉ」
半袖の制服の前でウサギ形のリンゴが揺れている。
葉隠が窓側のに差し出しているようだけど、拒否されリンゴはシャクリと葉隠の喉に消えていった。
夏休み終盤、それぞれが必殺技の開発やコスチュームの改良に勤しむ間、は寮に留まりはしたものの、これまで以上に口数も感情も失っていた。
牙顎は政府監視下の元、施設に入りも雄英の教師達も面会は許可されず、ジョーの安否も報告されないままだった。しかしは牙顎が飲み込んだものをそう長く保存出来ないことを知っていた。
あの日牙顎が吐き出したジョーのキャップを拾っていた轟は、それをに渡そうとしたが、は受け取らなかった。林間合宿のバスでは被っていたキャップを、見ようともしなかった。
「降りろ、到着だ」
走ること数時間、相澤の号令で下車するA組生徒達は目の前の大きな建物を見上げた。
「多古場でやるんだ」
「緊張してきたァ」
国立多古場競技場。
国際的なスポーツ競技でも使用される広大な敷地を有する競技場はより生徒達の緊張感を高めた。
「試験て何やるんだろう。ハー、仮免取れっかなァ」
「峰田、取れるかじゃない、取って来い」
「おっもっモチロンだぜ!!」
ソワソワと落ち着かない峰田に相澤の檄が飛ぶ。
内容は一切不明とされる仮免試験。それに加え、1年生であるA組にとっては自分たちより訓練期間の長い者達と合格を奪い合うこととなる。峰田でなくとも不安は過ぎる。
「この試験に合格し仮免許を取得出来ればおまえらタマゴは晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる。がんばってこい」
「っしゃぁ! なってやろうぜヒヨッ子によォ!!」
「いつもの一発決めて行こーぜ! せーのっ」
“プルスウルトラ”!!
雄英の精神であり教訓でもある言葉を全員で叫び士気を高めた。
けどそのかけ声に混ざった、未知らぬ男の声。
突然背後に現れた男に切島は「誰だァ!?」と驚き振り返った。
「勝手に余所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
「ああ、しまった!!」
どうも大変失礼致しましたァ!!!
豪快に体を反らせ勢いのまま地面にめり込む勢いで頭を下げた大柄の男に、誰だ? という心はすぐに何だコイツ!? に変わった。まるで飯田と切島を足して二乗したかのような、テンションだけで乗り切る感じの人物の突然の登場にA組はすっかり緊張を殺がれた。
しかし試験会場に集ってくる他校の学生達はざわざわと声を上げ始める。
夏の学生服はどの学校も似たようなものだが、彼らの特徴的な学帽がその存在を知らしめた。
「東の雄英、西の士傑」
爆豪が彼らの学帽のエンブレムを見て呟く。
全国の数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校―、士傑高校。
試験会場に足を向ける若者は誰もが緊張と不安を抱えているのに比べ、学生らしからぬ堂々とした佇まいがトップ校である風格を醸し出していた。
「一度言ってみたかったッス! プルスウルトラ!! 雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっス、よろしくお願いします!」
中でも突然号令に混ざってきた大柄の坊主男を相澤は思い出した。
めり込んだ頭から血を流してもギラギラした目で雄英生に感激する男。
その姿は熱血漢とも異常とも見える。
「夜嵐イナサ……」
先輩達に連れられていく夜嵐を見送りながら相澤はいやなのと同じ会場になったなと零した。
「先生、知ってる人ですか?」
「ありゃあ強いぞ。昨年度……つまりおまえらの年の推薦入試、トップの成績で合格したにも拘わらず、なぜか入学を辞退した男だ」
「え!? じゃあ……1年!?」
自分たちと同じ年。加えて、雄英の推薦をトップの成績で通過した程の人物。
ということは、実力は轟にも匹敵するのかと畏怖を抱いた。
「、知ってるか? おまえ入試見てたって言ってただろ」
轟はクラスの輪に引っかかっているようにいるような泪に問いかけた。
前にそんな話をしたことがあった。
あれだけ騒がしい男なら目立っていただろうに、自分は覚えがなかったから。
「覚えてないのか」
「オレ? 関わりあったか?」
「……」
泪はそれきり言葉を発さず轟から視を離した。
入試は1日がかりで筆記と実技と面接をこなしただけだった。轟はどの試験もそつなくこなし、特に強く記憶に残ったことはなかった。
「雄英大好きとか言ってたわりに入学は蹴るってよくわかんねぇな」
「ねー、変なの」
「変だが本物だ。マークしとけ」
ヒーローを志し訓練に明け暮れる同じ年の者たち。雄英に入り、その存在は焦燥にも脅威にも感じながら、だけど確実に励みになっていた。
分かっていたけど、全国にはこんなにいるんだ。
雄英というレッテルに集められる視線は決して前向きなものばかりじゃない。
「イレイザー!? イレイザーじゃないか!」
異様に明るい声が相澤の名を大きく呼び、相澤は覚えのある声に足を止めたが振り返るのは一瞬ためらった。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!」
思った通り、手を振り近づいてくるのはヒーローコスチュームに身を包む女性、ミス・ジョーク。
嫌なのに会ったと相澤は眉間の皺を深くした。
「結婚しようぜ」
「しない」
「しないのかよ、ウケル!」
相澤に似合わぬ「結婚」というワードにミーハーな芦戸が「わあ!」と胸をときめかせた。
スマイルヒーローという通り名を持つ彼女の”個性”は爆笑。
人を強制的に爆笑させる力を持つ彼女は常に笑顔の明るい女性だった。緑谷も認知するヒーローである彼女の闘い方は相手を爆笑させて隙を生むという狂気に満ちており、相澤が教師になる以前は事務所が近所だった関係で親睦があり、彼女曰く、助け助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲になったとか。
「先行くぞ……」
「え? あ、暑い? 待ってちゃん、ポカリあるよ」
ミス・ジョークも現在は教職についており、受け持つクラスを率いて生徒達が交流し合う中、夏休みが終わったといえどまだ燦々と降り注ぐ太陽光に負けは歩き出し、追いかける葉隠に続いて常闇や障子も他校と騒ぐクラスから離れ会場エントランスへ向かった。
「なんかさ、普段私たち雄英から出ないから自覚ないけど、やっぱり注目されてるんだね」
「雄英のネームバリューだろう。個人として名が通っているのは体育祭で活躍した者だけだ」
「たったら常闇もじゃん、3位だったんだから」
「存在感……、印象値とも言うか。爆豪や轟に比較すればオレは足りないのだろう。ヒーローにとっては素質とも言える」
「そお? だって相澤先生なんてそういうのとは真反対だけど実力者だし」
「葉隠の言う通り、どんな仕事を成すかだ。目立つ者はだからこそこういった試験では集中して的となり得るし、プロになれば目立つことが必ずしも良い結果を得るわけではないだろうしな」
「私なんて目立ったら終わりだし! ねぇちゃん」
日陰に座り込みポカリを飲むに「足広げて座らないの!」と葉隠はスカートの足を閉じさせた。
泪が夏服でもタイツを履いていることを暑くないのかなと思っていたけど、寮生活になりと私生活を共有するうちに、の身体に点在する傷跡や火傷のような跡、左腕の焼き印を目にしていた葉隠は、それでもそれらに特に言及することなくただ毎日傍にいた。
クラスと合流し会場内へ入ったA組はコスチュームに着替えると会場へ集まり、開始の時間を待った。
全国3カ所で行われている仮免試験中、ここ多古場競技場に集まった受験生は総勢1540名。それら全員がコスチュームを纏い集まると圧巻で、A組生徒たちも「はー……」と息を漏らした。
「えーでは、仮免の、アレをやります……」
まだざわめきの多い受験者たちの前で、一人の男が登壇しマイクで話し始める。
ヒーロー免許試験を統括するヒーロー公安委員会の目良。端的に自己紹介をするもその風貌は明らかに疲労困憊といった顔色。目の下のクマにボサボサ頭、スーツを着てはいるがシャツはボタンが取れていてネクタイもゆるゆる。仕事が忙し過ぎてロクに眠れてない……人手が足りてない……眠たい……ともはや自己紹介ではなく愚痴を始める目良に「大丈夫かこの人……」と緑谷は心配になった。
そんな目良から試験内容の説明が始まった。
それはずばり、この場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行うというもの。
プロヒーローの仕事は事件発生から解決に至るまでの時間が恐ろしく迅速になっている。ヒーロー飽和社会と揶揄され、ヒーロー殺しことステインの件以降ヒーローの在り方に疑問を呈する者も少なくない。これまで多くのヒーローが悪事の成敗に尽力してきた結果ではあるものの、今ヒーローを目指さんとするここにいる若者らは確実にその激流に身を投じることとなる。
「よって試されるはスピード。条件達成者先着100名を通過とします」
1次試験で通過は100名。1割にも満たない数に1540人がどよめいた。
「で……その条件というのがコレです」
目良はターゲットと呼ばれるこぶし大の的とボールを見せた。
受験者は自身の身体(ただし常に晒されている部分であること)にターゲット3つを取り付けた状態で、ボールで他者のターゲットを狙う。ターゲットはボールが当たると発光し、3カ所全てが発光すると脱落となる。また狙う側は3つ目のターゲットを当てた者にポイントが入り、二人脱落させると合格となる。
一人に配られるボールは6つ。3カ所全ての的を当て二人脱落させようとすると必要最低数。スピードが重要と提示しつつも3カ所目のターゲットを効率よく狙う駆け引きも含まれるようで、より乱戦となることが予想された。
「えー、じゃあ……展開後ターゲットとボールを配るんで、全員に行き渡った1分後にスタートします」
「展開……?」
そう轟が目良の言葉を復唱した時、ゴウン……と大きな音と振動がどこからともなく響いてきた。会場の天井が四方に開き、1540人が収納されていた会場の壁が展開し、当たりは広大なフィールドへと変わった。元・会場を中心としたフィールドは、四方に山岳地帯、工業地帯、市街地のような地形などが広がっており、受験者各々得手・不得手を考慮し”個性”をより発揮できる環境作りも求められた。
通過者わずか100人という難関。加えて条件達成のシビアさ、どんな”個性”を持った者がいるかも分からない不安要素。
「みんな、あまり離れず、塊で動こう!」
このルール、同校同士の潰し合いを避け、チームアップが有効と判断し、緑谷が声をかけるとクラスメートたちも呼応した。
「フザケろ、遠足じゃねーんだよ」
けれどもそんな緑谷の提案に乗るはずもなく、吐き捨て爆豪は一人たったか離れていってしまう。
「オレも抜けさせてもらう。大所帯じゃかえって力が発揮できねぇ」
続いて轟も自身の力を考慮しクラスから離れることにした。
「行こう、」
「……」
あれ以来……は一人で黙っていることが多く訓練もロクに出来ていなかった。皆の訓練中も一人で座しているばかりで何かを考え込んでいるのか、何も考えないよう無でいるのか、傍からは見て取れなかった。そんなに変わらず話しかけ続けているのは葉隠だけど、クラス皆が自然と誰かは必ずの傍にいようとしていた。
元々色の白い乾燥気味の肌ではあったけど今はより血の気無く見える。
ただ時間だけが、プログラムだけが進んでいく。
はこの仮免をどう思っているんだろうか。今でも本当に、ヒーローになろうと思っているんだろうか。このところ轟はいつも口に出かけては飲みこんでいた。人に気遣って言葉を飲み込むなどこれまでなかったけど。
鋼のような強さに、憧れのようなものを抱いたはずだった。
だけど今は氷細工のような脆さを前に、何も出来ないでいた。
「」
森の中からを担いで戻ってきた爆豪。
言葉で、態度で、常に泪を繋ぎ止めている葉隠。
のヒーローへの道を絶対に途絶えさせはしないと言う飯田。
愛情、献身、伝心。
これまで身体や技ばかり鍛えてきた自分に圧倒的に足りないものを、轟はの傍でひしひしと感じていた。
せめて、あの時組もうと言った自分に手を合わせてくれたの気持ちだけは守りたい。
力を失くした右手の代わりに。なんとか。何か、何か。
「ああ、ちゃん!」
「轟君!」
「緑谷時間ねぇよ、行こう!」
クラスから離れていく轟とにも緑谷は心配を過ぎらせるが、もう試験は始まっており周りにいた受験者らは行動し始めていた。爆豪や轟に続いて何人か離れはしたが、今いるメンバーで互いにフォローし合い全員での試験通過を目指し緑谷たちは周囲を警戒しつつ移動を始めた。
というのも、例年形式は変われど、この仮免試験にはひとつの慣習に近いものがある。
緑谷が単独での行動を避けたかったのも、それを警戒してのことだった。
「他のやつらはどこも10人以上のチームを組んで動いてやがる。こっちから仕掛けてもいいが、不利な”個性”持ちがいると厄介だしな。他のチームがぶつかり合って双方の人数が減ったところを襲うってのが理想的な状況だが」
「……」
試験開始の合図が鳴り響き、轟とは高い建物が建ち並ぶ工業地帯にまでやってきた。
轟にとってどんな地形が得意、ということもないが、大所帯から離れるならまだ身を隠せる雑然とした場所がいいかと考えた。入り組んだ建物やタンク、パイプ配管が多くの影を作るこの地帯は隠れるにはもってこいだが、それはつまり他も同じ事。
「勇気あるねー、”雄英潰し”なんてへでもねぇってか」
塊となっていた雄英生の中から逸脱し、単独行動に出たとなれば標的にする者も出てくる。
この競技が個人戦でありながら学校単位での集合体の集まりであるなら、どの学校もチームアップを謀るのは当然のこと。そして集団での戦闘に置いて最も重視されるのは戦略、それに不可欠は情報。
「轟くーん、オレにもサインくれよー」
「お父さん念願のヒーローランキング1位おめでとー。ま、暫定だけど」
「体育祭では氷ばっかだったけど、キミ炎もあるんだよねェ?」
すでに辺りを囲む気配の中からいくつか顔を見せる他校受験者たち。
先陣かオトリか、姿を見せずに潜んでいる数はその比ではないだろう。
これが関係者ならほぼ共通認識として在る”雄英潰し”。
体育祭が全国放送される雄英高校は毎年トップランカーほど”個性”は知られており、どんな力を持ってるかも知れない他校に比べ圧倒的不利なことは周知の事実だった。
「体育祭か……。確かに不利といえば不利だが」
二人の周りをじわじわと、轟の力を警戒しながら距離を測って詰めてくる。
「何ヶ月前の話だ、それ」
”雄英潰し”。そんなことは当然、観客席から場内を見下ろす相澤も知っていること。
だけどA組は誰一人としてそんなこと知らされてはいなかった。
どんな状況に追い込まれようと、乗り越えていくことに変わりは無いのだから。
「おまえの右側は俺がフォローする。好きに動けよ、」
「……」
右の氷結と左の燃焼。構え、轟はの右側に立つ。
けど……は一人静かに歩き出した。
「……?」
ずっと力の無かった右腕をスーと真横に上げる。
「氷くれ」
「え?」
が握り込めない右手に催促するから、轟はそれに触れパキッと氷を纏わせた。
「誰あれ? あんなの雄英にいたっけ」
「1回戦も残れない個性なんじゃない?」
「弱い者を守りながら闘うなんてさすが準優勝者、カァッコイイー」
周囲が各々に構え轟とのターゲットを狙いに来る。
右手に氷を纏わせた泪は腰を落とし組み手の構えを取ると、ピンと周囲が静まりかえるような空気が広がった。が正式な構えを取るなど散々組み手を交わしてきた轟にも目新しく、何をする気だと冷や汗を感じた。
ドンと地を蹴るはまっすぐ目の前にいた受験者の寸前まで飛ぶと氷を纏った右手をドッとみぞおちに食らわせた。誰も反応出来なかった。誰も見えなかった。ただゆっくりと一人の男が嗚咽を吐き態勢を崩し地面に落ちていった。
「は……?」
なんだ? と口にする前に、また別の男は心臓が痛むほどの寒気を感じた。背後から伸びてきた手に首元を一撃されグルンと意識が回り気を失った。建物の影に潜んでいたはずの者も何事かと立ち上がった瞬間人中を打たれ視界が暗転し、それは一人、また一人と続いて地面にボタボタと落ちていった。何が起きているのか分からないがヤバい、とその場を離れようとした女子も顎に右肘を食らい卒倒した。何か”個性”を発動しようとした者も脳天から叩きつけられ地面に落ちた。
「あ……ああ……!!」
「なんだよこれ……、こんなの試験じゃねーよ、戦闘でもねーよ……!」
倒れる人の数に怯え、数名がその場から逃げ出し始める。
でも誰も例外はない。この一帯にいた30人ほどがものの1分で全員地に伏せ動かなくなった。
風の音も分かるほど静か。ただ人間がゴロゴロと倒れている。
体育祭のような晴れやかな汗などない。武士道のような正々堂々とした勝ち負けもない。
切磋琢磨する混戦もない。全てが瞬間に終わる。静かに。静かに。
「……」
轟は一歩も動けなかった。
カメラで見つめる試験官も、観客席から見下ろしているプロヒーローや教員たちも。
何事も起きていないかのようにその一帯以外で受験者たちは騒々しく点を取り合って、まるで別世界の出来事かのように、最初に構えた場所にトンと、息も荒らさずが戻ってきた。
右手の氷は無くなっていた。
轟は内側から強く胸を打つ鼓動に苦しくなった。
「おまえの良いところは、きれい事を言わないとこだよ」
いつ振りか、が振り返る。白い顔で轟を見上げる。
「おまえは死ぬなよ」
「……」
遠くの遠くで、思い出したかのようにアナウンスが鳴り響いた。
ようやく一人目の通過者が出たと言っていた。
そうだ、と轟は試験中であったことを思い出した。
ごろごろと人の倒れる地獄のような景色の中で。